ハートにモザイク

ライトに映ったシルエット

夜間飛行

ワンクールのドラマが4分44秒に詰まってる、そんな曲「夜間飛行」がすきですきでたまらないので思わずエントリ。

 

 

そっと見つめる「美しい横顔」も、わたしをなぞる「美しい指先」も、青く陰る「美しい瞳」も発する「美しい言葉」も、君を構成するすべてが美しい。美しくて愛しい。愛しくてずるい。

 

 

晴一さんは夜空に想いを馳せるのが本当に上手いなぁと思う。わたしの気持ちに気付いている君は夜空を見上げる。それでもわたしはその横顔さえ美しいと思ってしまう。

夜空に浮かぶ夜間飛行のようにわたしは飛ぶことができず、腕時計を外してとも言えない。音もなく刻む音、という表現には刻一刻と進んでゆく一瞬とも君といることで感じられる永遠ももどちらとも取ることができる。

 

君が呟く「月が綺麗」という言葉は、わたしの気持ちをはぐらかしたのか、それとも例の文豪のような例えなのか。

 

 

視覚も聴覚も触覚も、君のすべてが美しいと思うのに、唯一、好みではないと言ってしまうのが「甘くないパフューム」。強がることのできる唯一の救いだ。ただ、嗅覚とは呪いのようなもので、冷凍庫にいれておいて少し湿ったソフトクリームコーン。秋の訪れを告げた風。あのひとがマフラーを取って空気が揺れる瞬間。否応無しにひとの記憶を呼び覚ます。わたしはきっと街中でそのにおいとすれ違うたびに思い出す。でも、わたしは立ちすくんだりしない。ましてや泣いたりなんて、決してしない。

 

思い出せない。最後に見つめ合ったこと。いつも横並びだったから。初めて気付く。風を受ける盾になってくれていたこと。

 

わたしは思わず声を漏らす。的外れなんかじゃなかった。

 大きく輝くそれは、あの日のようにわたしの瞳に青く陰を差す。そしてそっと呟く、

 

 

「月が綺麗。」