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ハートにモザイク

ライトに映ったシルエット

恋してる誰もがスーパースター

 
会えそうで会えなくて 泣いたりした後で 声が届いちゃったりして 引き合ってる 絶対そう 君はどう思ってる? 
 
 
 

 
なんとなく、なんとなく来るんじゃないかなっていうささやかで甘んじた希望と、こないだろうなっていう諦めに揺られてた。だから、大阪に来るって聞いたとき、じわ〜〜〜〜っと嬉しいの波が押し寄せてきて、混沌としたものが澄んだ蒼に染まっていった。そこは太陽の光が照らすようにピカピカとしていた。
足元を掬われそうな時にわたしを明るいところへひっぱってくれるのはいつだって渡辺くんだ。
 
 
ステージに降り立ちメクルメクを踊る渡辺くんは渡辺くんだけの空間を纏っていて、まるで無重力にいるみたいだった。わたしこのひとが好きだ、と湧き上がってくる気持ちの高揚感と渡辺くんの無重力空間に吸い込まれて酔ったようにふわふわと心が満ちていった。
 
遠くで見る渡辺くんは並ぶとちっちゃくて、阿部くんを見上げてにこにこしてる渡辺くんが愛しくて、団扇を思わず抱きしめた。渡辺くんの名前が書かれた団扇。想いを伝えることのできる唯一の手段。わたしと渡辺くんを繋ぐもの。
 
そんな渡辺くんがバクステからわたしの目の前に来た。汗が伝う首筋を見たときに、やっぱり男のひとだ、とドキドキした。目の前に渡辺くんがいる。瞬きをしている。髪が揺れている。曲が終わってこっちを体ごと向けた。花道近くのアリーナから視線を落としていくうちに一瞬目が止まった。そのあとゆっくりと視線を少し上げて、わたしと渡辺くんの目が合った。そこにはテレビもスクリーンも、何の幅たりもなかった。流れた時間は一瞬にも永遠にも感じられた。息をするのも忘れるくらい、見惚れていた。
 
 
本編が終焉に向かうにつれて、たぶん、誰が見ても渡辺くんのメーターが振り切れていって。また新しい渡辺くんを知った気がして。このひとはあとどれだけの表情を見せてくれるのだろう。まだまだ離れられそうにないなぁ。一秒先の君にまた恋をする。
 
ちょっと早い、夏の忘れられない思い出の話。