2015-06-19 それ以上でも以下でもありません。 大きな飴玉が喉につっかかりながら奥深くへ進む。ザラメをまとった毒々しい飴玉を舌で少しころがすと、少しなめらかになって人工甘味料の甘みが口に広がった。糖が液体となって歯に纏わり付いていた。舐めても噛んでも一度口に入れるともうあとは溶けるだけだった。わたしとあのこの物語が途切れたのはいつだろう。踵がいつになっても磨り減らないのはわたしのほうだった。借りたままの本の結末はもう忘れてしまった。「願いには時差があるのだ。神様わかって。」